事業者は、産業廃棄物の取り扱いについて、正しい知識を持っておかなければいけません。
そして、産業廃棄物の中でも特に扱いが難しいのが、特別管理廃棄物、すなわち特管産廃です。
特管産廃はその他の産業廃棄物と同様に取り扱うことによって、違法行為と捉えられてしまう可能性もあります。
トラブルを起こさないため、特管産廃について基礎知識を確認しておきましょう。

特管産廃とは?


大きく「ごみ」と言われるものの中にも「一般廃棄物」と「産業廃棄物」があります。
産業廃棄物とは、事業を通じて排出される特定の廃棄物のこと。
そして一般廃棄物は、家庭から排出されるごみや事業とは関係なく排出される廃棄物など、産業廃棄物以外の廃棄物のことです。
そこからさらに一般的な産業廃棄物と「特別管理産業廃棄物」を、区分することができます。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、特別管理産業廃棄物について「産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものを特別管理産業廃棄物という」と定められています。

上記の通り、特管産廃は毒性や感染性が強いことから、取り扱い方を間違えると、人体に影響を与える可能性が非常に高いとされています。
例えば、日本国内でも「四大公害」をはじめとした社会問題が発生したときには、話題になりました。
企業が排出した廃棄物が、土壌や水質を汚染し、地域住民へ被害が広がってしまった事件です。
特管産廃の毒性や感染性は、水や油を介しめぐりめぐって人体にも影響を与えます。
そのため、特管産廃の排出事業者はその他の産業廃棄物ときちんと区別し、帳簿をつけるなど特別な管理をしなければいけません。

特管産廃に含まれるものとは?


それでは具体的に、特管産廃とはどのようなものなのか、例を挙げながらチェックしていきましょう。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令では、次のように定義されています。

・廃油(燃焼しにくいものとして環境省令で定めるものを除く)
・廃酸(著しい腐食性を有するものとして環境省令で定める基準に適合するものに限る。)
・廃アルカリ(著しい腐食性を有するものとして環境省令で定める基準に適合するものに限る。)
・感染性産業廃棄物
・PCB汚染物
・PCB処理物
・廃水銀等(廃水銀及び廃水銀化合物であつて、人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして環境省令で定めるもの)及び当該廃水銀等を処分するために処理したもの(環境省令で定める基準に適合しないものに限る。)
・指定下水汚泥
・鉱さい
・廃石綿等(廃石綿及び石綿が含まれ、又は付着している産業廃棄物のうち、石綿建材除去事業に係るもの及び輸入されたもの(事業活動に伴つて生じたものに限る。)であつて、飛散するおそれのあるもの
・燃え殻(国内において生じたものにあつては、同号に掲げる施設において生じたものに限る。)
・ばいじん(国内において生じたものにあつては、別表第三の二の項に掲げる施設において生じたものに限る。)
・廃溶剤
・汚泥

このように、特管産廃の種類は非常に多岐に渡ります。
今一度、廃掃法の内容によく目を通し、排出される産業廃棄物の中に特管産廃が含まれていないか確認してください。
また、特管産廃に含まれるのか判断しづらい廃棄物や、その他の疑問がある場合には自治体の担当部局に問い合わせてください。

特管産廃の保管方法


特管産廃を保管する上では、他のものと混ざったり、飛散したりしないよう、細心の注意を払わなければいけません。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の第六条の五では、適切な保管方法について具体的に記載されています。

・密閉できること
・その他の環境省令で定める構造を有する容器に収納して行うこと
・周囲に囲いが設けられていること
・環境省令で定めるところにより、見やすい箇所に特管産廃の保管の場所であることその他必要な事項を表示した掲示板が設けられていること
・保管の場所から飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに亜硫酸ガスが発散しないように設備を設けること
・廃油・廃アルカリ・感染性産業廃棄物・PCB廃棄物・廃石綿等の処分又は再生は、当該廃油による人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれをなくする方法として環境大臣が定める方法により行うこと
・環境省令で定める期間を超えて保管を行つてはならないこと
・特別管理産業廃棄物(当該特別管理産業廃棄物に係る処理施設が同時に当該特別管理産業廃棄物と同様の性状を有する特別管理一般廃棄物として環境省令で定めるものの処理施設である場合にあつては、当該特別管理一般廃棄物を含む。)の数量が、当該特別管理産業廃棄物に係る処理施設の一日当たりの処理能力に相当する数量に十四を乗じて得られる数量(環境省令で定める場合にあつては、環境省令で定める数量)を超えないようにすること

特に大事なのが「どんな特管産廃を保管しているのか、管理しているのは誰か」が一目で分かるように掲示板を立てるということです。
特管産廃は、周囲の人へも影響を与える可能性があるからこそ、周囲の理解が必要不可欠です。
不用意に近づいたり、粗雑に扱ったりすれば大きな事故にもつながりかねないため、掲示板を利用して周知を広げましょう。
また、看板には管理者の連絡先も記載し、緊急時には看板を見た人が管理者と連絡がとれるような状態にしましょう。

特管産廃を管理しているあいだは、社内で勉強会や講習会のように、社員全員が特管産廃の知識を身につけられる機会を設けることも大切です。
特管産廃は、管理者だけが理解していればいいというものではありません。
社内全体で特管産廃にまつわる正しい知識や扱い方を覚え、一人ひとりが正しく扱える環境を目指しましょう。

特管産廃の収集。運搬・処分方法


特管産廃の収集・運搬や処分は、許可業者に委託することができます。
このときにも、保管時と同様、廃棄物の飛散・流出が起こらないよう、扱い方に十分注意しなければいけません。
そのため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第十四条の四では、次のように定められています。

「特別管理産業廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、特別管理産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。」

この法律により、特管産廃の収集・運搬・処分は、管轄の許可を受けた業者だけに許されているものであることが分かります。
もし、特管産廃の許可を受けていない業者に委託してしまった場合には、排出事業者が罰則を受ける可能性もあるため、十分注意してください。
特管産廃の責任は、どのような場合でも最後まで排出した事業者にあります。
委託した業者が不適正な処理を行ったとしても、排出事業者が責任をとらなければならないのです。
トラブルに巻き込まれないよう、委託前には特管産廃の許可を受けている業者であることを、必ず確認しましょう。

■まとめ
知らずに扱っていた廃棄物が特管産廃だったとあれば、法律違反になるのはもちろんのこと、企業の信頼問題にもつながります。
どんな廃棄物が特管産廃として扱われるのか、そしてどのように管理すべきなのか、よく確認しておきましょう。
また、収集・運搬や処理を業者に委託するときには、委託先業者の透明性にも注目し、信頼できる業者を利用することが大切です。

 

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