劣悪化する富士山の環境問題!美しい環境をキープするためには

世界文化遺産にも登録された富士山は、その美しさから絵画や写真など芸術の対象にもなり、世界中にファンを獲得しています。
その一方で、富士山とその周辺の環境について、かねてより問題視されていました。
富士山を世界に誇る日本の宝とするため、奮闘を続けた人たちの取り組みや今後の課題について考えてみましょう。

富士山の環境問題が深刻化


富士山は、2013年の6月に世界文化遺産として登録されました。
しかし実は、一度は「登録拒否」という判定を受けています。
しかしその後、3年にも渡って環境活動に取り組んだことで見直され、晴れて登録許可が下りました。
今や富士山は、自治体だけのものでも、静岡県や山梨県だけのものでも、日本だけのものでもなく、世界の重要な遺産です。

だからこそ、今一度富士山を巡る問題について、考えてみるべきでしょう。
一度、世界文化遺産の登録を拒否されてしまったのは、富士山とその周辺地域の環境が「世界遺産」を語るのが難しいほどに、ひどく汚染されていたためです。
遠目で見れば美しい富士山も、近づいてみると長い年月の中で繰り返された廃棄物の不法投棄や登山者のし尿問題によって、決して美しいとは言いがたい環境になっていました。

また、近年の富士山では、永久凍土の消失も起きています。
永久凍土とは、標高の高い場所にできる、一年を通して氷が溶けない部分のことです。
本来ならば、夏になろうと失われるはずのなかったはずの氷が溶けているということは、それほどに周辺環境の熱が高まっていることの証拠と言えるでしょう。
主な原因として、地球温暖化や気候変動の影響が関係しているのではないかと考えられています。
すなわり、富士山の清掃活動や直接的な環境保全活動はもちろんのこと、広く「地球環境を守る」ということが、富士山を守ることにつながると言えるのです。

悪化する環境問題を放置していると、富士山の世界文化遺産登録取り消しにもなりかねません。
一度登録拒否を経験しながら、3年の歳月をかけてようやく登録を受理された経緯と、当時奮闘していた人たちの気持ちを考えると、取り消しは絶対に避けたいものです。
世界に誇る文化遺産とするためにも、富士山にまつわるさまざまな問題に一人ひとりが関心を持ち、解決へ導く必要があります。

富士山の景観を遮る不法投棄問題


近年、環境問題を改善へ導くために「家電リサイクル法・リサイクル法」が制定されました。
本来ならば環境保全につながるはずの法律ですが、実は今新たな環境問題の引き金になっています。
家電リサイクル法では、家電の処分時に費用が必要になります。
正当に処理する場合に発生する費用を節約しようと、廃棄物を不法に処理する人が増えているのです。

不法投棄は「5年以下の懲役、もしくは1000万円の罰金またはこの併科(法人の場合、3億円以下の罰金)」という罰則が与えられる、立派な犯罪です。
しかし処理が難しい廃棄物や、処理のために大きな費用が発生する廃棄物の場合には、最後まできちんと責任を持って処理ができず、逮捕される可能性を加味しながらも不法投棄という手段に出る人が少なくありません。
そして、人の目が届きにくい豊かな自然の中は、不法投棄の廃棄物が持ち込まれやすい環境なのです。

富士山における廃棄物問題を解決するため活躍しているのが、衛星システムを利用した「産業廃棄物移動管理システム」です。
このシステムによって、排出された産業廃棄物がどのように移動し、現在どこで管理されているのか把握することができます。
人の目だけでは追いきれない情報も、衛星からの視点で細かくチェックできるようになります。
これによって不法投棄を未然に防いだり、万が一不法投棄が発生したときにもすぐに対応できたりと、さまざまな効果が期待できます。
複数の都道府県にまたぐ富士山の「細部まで管理が行き届かない」という問題も、解決へ導かれたのです。

一方で、家庭から排出される家電ごみなどいわゆる「一般廃棄物」については、産業廃棄物以上に扱いが難しく、まだまだ課題は残っています。
現在の環境に満足せず、廃棄物ゼロを目指して管理体制を整える必要があるでしょう。

山梨、静岡、神奈川の周辺3県では、「富士箱根伊豆地域不法投棄防止連絡会議」を開き、富士山の環境を守るための話し合いが行われました。
この会議では、管轄にこだわることなく「富士山」という大切な資産を守ることを目的に、3県合同パトロールを実施することが決定しました。
今後は、さらに美しい環境が根付いていくのかもしれません。

環境悪化を誘発する排せつ物問題


富士山の環境を考える上で、外せない問題の一つに「排せつ物問題」があります。
毎年、多くの登山客や環境客が訪れる富士山は、過剰利用状態が続いています。
それゆえに人間が排出するし尿や排せつ物の処理が追いつかず、垂れ流し状態になっているのです。
山肌にこびりついた排せつ物は、「白い川」と呼ばれるほどの問題になっていました。
排せつ物によって、悪臭を放ち環境が悪化するのはもちろんのこと、伝染病などのリスクもはらんでいます。

こうした問題を解決するために、平成14年から杉チップを利用した「バイオトイレ」が導入されました。
富士山の環境を守るための大切な取り組みであり、技術を生かした画期的な取り組みであったことが、話題を集めました。
バイオトイレとは、杉チップと好気性微生物の力を使って排せつ物を分解することを目的としたトイレです。
これにより水を使うことができない環境においても、衛生的な状態をキープしながら排せつ物を処理できるようになったのです。

その他の富士山の環境問題への対策とは?


富士山は長い歴史の中で、自治体やNPOが中心となって美しい環境を守るために新しい設備を導入したり、清掃活動を行ったりと地道な活動が続けられてきました。
富士山が世界文化遺産に登録された背景には、こうした人たちの活躍を無視できません。
彼らの活躍を無駄にしないためにも、今後とも富士山の価値を守る清掃活動や環境保全活動を続けていく必要があります。

しかしNPOは、あくまで非営利団体です。
そのため、企業のように資本金を得て活動することができず、自然とできることにも制限が生まれてしまいます。
環境活動をサポートするためには、行政や地域住民、その他富士山の環境を守りたいと考える個人が連携しながら、費用を工面しなければなりません。
その一環として、2013年7月からは登山客より入山料として料金を徴収する動きも行われています。
富士山の入山料は、必ず支払わなければならないものではなくあくまで任意のものです。
登山の際「富士山の環境問題に貢献したい」という気持ちがあるのであれば、積極的に支払うようにしましょう。

もちろん金銭面でのサポートのほかにも、一人ひとりが視野を広げることで個人にできることもたくさんあります。
美化活動やボランティア活動への参加、家族や友人など身近な人への富士山環境問題の周知など、熱心に行いながら富士山の豊かな環境を守りましょう。

富士山の環境問題は他人事じゃない

富士山は、世界へ誇る日本の宝と言えるでしょう。
だからこそ環境問題の影響で富士山の価値が下がるようなことがあれば、日本のイメージが悪くなりかねません。
富士山の環境問題に対し、一人ひとりが高い意識を持ってできることはないか考えてみましょう。