CSRとコーポレート・ガバナンスの違いとは?それぞれの特徴について

近年、幅広い業界のさまざまな企業が「CSR」について考え、新しい活動に取り組むことが増えてきました。
そして同時に、「コーポレート・ガバナンス」という言葉を耳にする機会も増えているのではないでしょうか。
どちらも定義が分かりづらいと感じやすい言葉ですが、企業としての役割を果たすためにもこの機会にそれぞれの言葉の意味合い、違い、そして関係性について確認していきましょう。

コーポレート・ガバナンスとは?


コーポレート・ガバナンスとは、企業の発展に必要不可欠な企業統治を指す言葉です。
企業の安全かつ透明で継続的な経営のため、社内を統制・監視する仕組みや、あり方を定めることがコーポレート・ガバナンスの目的です。
日本取引所グループでは、コーポレート・ガバナンスについて次のように定義しています。

「会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みを意味する」

1960年代ごろから、アメリカをはじめとした世界各国で企業の社会倫理問題が注目を集めるようになりました。
経営者や社員の怠惰や不正を原因として、企業不祥事が増えていったことから企業統治について疑問視されるようになったのです。
以降、コーポレート・ガバナンスが普及し、企業は株主や顧客、従業員、地域社会すなわち利害関係のある立場の人=ステークホルダーの意見を踏まえた経営が求められています。

コーポレート・ガバナンスを整えることによって、工場や支店、またその営業所で働く社員と、企業にかかわるすべての情報を正しく理解し、把握することにつながります。
また、体制を整え企業内で結束することにより、収益力をあげる効果も期待できます。
一つの目標に向かって、社員同士で手を取り合う姿勢が根付けば、ますます健全な企業経営が期待できるでしょう。。

「透明・公正な経営」を叶えるためにはコンプライアンスと呼ばれる法令順守はもちろんのこと、倫理問題や効率問題にも向き合わなければいけません。
多角的な判断が必要になることから、株主と経営者のあいだにひずみができ、それぞれに経営の目的を見失ってしまうことも少なくありません。
コーポレート・ガバナンスについて考える上で、株主総会は株主と企業の幹部とが直接意見を交わしあい、建設的な対話を行うための大切な機会として扱われます。
株主に対する適切な情報提供を徹底し、誤解や認識のすれ違いが起こらないよう努めることで、内部統制やあらゆるリスクヘッジを行うことこそが、コーポレート・ガバナンスの最大の目的です。

CSRとは?


CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略称であり、つまり「企業の社会的責任」のことを指します。
国際標準化機構であるISOでは「ISO 26000(Guidance on social responsibility:社会的責任に関する手引き)」として、「説明責任」「透明性」「倫理的な行動」「ステークホルダーの利害の尊重」「法の支配の尊重」「国際行動規範の尊重」「人権の尊重」を7つの原則として掲げています。
これらは、CSR活動を通じて企業が取り組むべき課題であることに間違いありませんが、具体的なCSR活動内容については企業ごとに大きく違います。

もっとも一般的なCSR活動として「納税」や「雇用」があります。
これらは地域に根付いた企業としての貢献活動につながる一方、企業の基本的な義務でもあります。
この他には、社会的課題を解決することもCSR活動に含まれます。
例えば、どのような企業であっても環境問題が深刻化すれば、継続的な企業経営を続けることは難しくなってしまいます。
CSR活動の一環として、事業を通じて排出されるCO2の量を減らすこと、廃棄物削減を目指すこと、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーを利用すること、クールビズやウォームビズを導入し冷暖房の過剰使用を避けることなどが挙げられます。
環境保全活動につながるCSR活動は、どのような業界、どのような企業でも効果的な取り組みです。
基本資源として事業活動を通じて水や木を使用しているる企業の場合には、原料の枯渇は大きな打撃となるでしょう。
豊かな自然資源を守るための植樹活動を行ったり、山や海における清掃活動を行ったりと、さまざまな展開を行うことも、立派なCSR活動です。

CSR活動のメリットを理解していても、具体的にどのようなCSR活動を行えばいいのか分からず、悩んでしまう企業もあるのではないでしょうか。
そうした企業のために、CSRのコンサルティングサービスも展開されています。
コンサルティングサービスを利用すれば、企業の特色を生かし、事業内容を踏まえて行えるCSR活動について、客観的な視点から提案してもらうことができます。
CSRには地域社会との結びつきを強くしたり、さまざまな人に企業を知ってもうことにつながったりと、多くのメリットがあります。

CSRとコーポレート・ガバナンスの違いは?


CSRとコーポレート・ガバナンスについて、それぞれ知識を深めていく中で「どのように違うのだろうか?」と感じてしまうこともあるのではないでしょうか。
どちらもステークホルダーに対して有益な対応を行うことを目的としていますが、コーポレート・ガバナンスはあくまで目的が「企業統治」であり、企業外部の働きに関してはノータッチである場合が少なくありません。
それに対しCSRは、社会的責任を目的にしていれば、地域社会や他の企業、団体と協力し合いながら一つの課題解決を目指すこともあります。
また、時代が変わるごと、社会がかかえる課題や問題も変わっていくことから、CSR活動は時代や環境に即した柔軟な対応が求められます。
一方で、コーポレート・ガバナンスは基本的に外からの影響を受けにくく、移り変わる時代の中においても普遍的なものとして扱われます。
その他に「CSRは自発的活動のことを指す」という考え方もありますが、多くの企業がCSR活動に取り組むようになるにつれ、定義は変わってきているため明確な違いとは言いづらいでしょう。

コーポレート・ガバナンスにしてもCSRにしても、具体的な活動内容は企業にゆだねられます。
そのため違いについて一概に定めるのは難しく、相互にかかわり合う場合もめずらしくありません。
コーポレート・ガバナンスとして定めた仕組みが社会的責任につながり、社会的責任を果たすためにコーポレートガバナンスを意識するという、強固な関係性があると考えてよいでしょう。
これから先、訪れる未来にも継続的な経営を続けていくためにはCSRとコーポレート・ガバナンス、どちらも意識した上で、企業の目標や方向性を決定することが大切です。
決定した目標・方向性は「基本行動指針」や「企業理念」「経営理念」として、企業ホームページ上に記載しましょう。
自社の社員だけでなく、地域の人や関連企業の人とも、思いを共有することにつながります。

違いを理解して社会的責任を果たそう

CSRとコーポレート・ガバナンスには、それぞれ「企業の社会的責任」と「企業統治」という意味合いや役割があります。
そしてどちらも、健全な企業経営を考える上で欠かせない要素となります。
社会的責任を踏まえた上で、継続的な経営のためにすべきことについて、今一度考えてみましょう。