中小企業ができるCSR活動とは? 具体的な事例と期待できる効果

近年、さまざまな業界、さまざまな企業のあいだで「CSR」という言葉を聞く機会が増えてきたのではないでしょうか。
一方で、これまでにCSR活動を行っていなかった中小企業の場合は定義が分からなかったり、どのようにCSR活動を取り入れていけばいいのか分からなかったりと悩むことも多いでしょう。
今回は、中小企業におけるCSRとの向き合い方についてご紹介していきます。

「CSR」とは?大企業の実施事例

CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略称です。
つまり「企業の社会的責任」のことを指しています。
企業が健全な経営を続ける上では、まずメーカーなら製品を製造する、商社なら製品を販売するというような、基本的な業務に対し、常に誠実に取り組む必要があります。
だからと言って基本業務に従事していればいいということではなく、事業活動を行う上では社会的責任も果たさなければなりません。
消費者や投資家、さらには社会全体に対して誠実な対応をすることが、社会的責任を果たすことにつながります。
CSRの考え方はもともとドイツで誕生し、多くの人の共感を得たことから世界中に広がっていきました。
国、地域、その他の環境によってCSRにまつわる姿勢はそれぞれに違いますが、各国の法律を遵守すること、環境問題をはじめとした課題へ高い意識で取り組むことなどが、共通して求められています。

日本でも、多くの有名企業がそれぞれの事業に即したCSR活動を行っています。
富士フイルムホールディングスは、環境問題への配慮からCO2排出量と水資源について、「自社製品のライフサイクル全体でのCO2排出量を2013年度比で30%削減する」といった、具体的な目標を掲げています。
運送業を中心に、幅広い分野へ事業展開を行っているヤマトホールディングスは、CO2排出量を抑えるために業務に使用する車両に着目し、低公害車や台車、新スリーターを導入しました。
これまで使用していた車両を新しいものに変えるためには、当然初期投資が必要になりますが、その一方で将来的にはCO2排出量の大きな変化が期待できます。
CSR活動はすぐさま大きな成果を出さなければいけないものではないため、中長期計画としてじっくり計画を立てることも大切です。

企業が行ったCSR活動は、「CSR報告書」「持続可能性報告書」などを通じて、企業ホームページ上や株主総会で報告を行います。
CSRを企業活動そのものであると考え、事業内容にうまく組み込んでいくことができれば、企業として社会に大きく貢献できます。

中小企業にとってのCSRとは?


大企業の場合には、資金も人材も充実していることから国内外を拠点とした大規模な活動を行いやすい傾向にあります。
大企業やグループによるCSR活動事例を見ていると、中小企業の場合には難しいように感じられるかもしれません。
しかし、CSR活動の種類によってはむしろ中小企業の方がスムーズに進められる場合があります。
例えば、地域社会が抱える課題解決に努め、地域に根ざしたピンポイントな展開を行うこともCSR活動につながります。
こうしたCSR活動は、全国に支店や営業所を構える大企業よりも中小企業の方が向いていると言えるでしょう。

新たな商品やサービスの企画開発段階においても、環境問題や持続的経営を意識しましょう。
例えば、既存の商品やサービスに「エコ」や「省エネ」といった付加価値をプラスすること、消費者が環境問題を身近に感じられるようなギミックを取り入れることはできないでしょうか。
次世代のニーズをいち早くつかみ、CSRを意識した展開を行うことは、経営戦略にもつながるでしょう。

さらに、一人ひとりの社員が働きやすい環境づくりを行うことも、企業としての責任を果たすことにつながります。
過度な長時間労働、労働に見合わない賃金、休日や休暇を取得できない状況など、労働環境について問題が起こっていませんか?
改めて労働環境やワーク・ライフ・バランスを整える取り組みは、従業員数の多い大企業よりも、中小企業の方が挑戦しやすいはずです。

中小企業にできるCSRの事例


それでは、中小企業ができるCSR活動には具体的にどのような事例があるのか、具体的に確認しておきましょう。

人材育成の強化

優秀な人材を育成することは、企業が継続的に発展していく上で欠かせません。
企業の事業活動を続けていくという意味でも、未来ある若者が地域に根付くという意味でも、大きな地域貢献につながります。
新入社員が入社したときには「新入社員研修」「ビジネスマナー研修」「職種別研修」「配属先別研修」などを実施して、社員が企業に馴染むための体制を整えましょう。
さらに、社員が定着し仕事に慣れてからも「階層別研修」や「管理職研修」「マネジメント研修」を行うことによって、人材をサポートすることも大切です。
常に自分のレベルに合った目標を定め、絶えずレベルアップ・キャリアアップを続けられる環境は、社員のモチベーション維持にもつながります。

環境保全活動

世界的に意識が高まる環境問題を考える上では、CO2排出量を抑えることが重要な課題となります。
事業活動を通じて、あらゆる設備を利用したり燃焼したりする上では、企業側でCO2排出量を測り、正しく理解した上で削減につながる活動を行いましょう。
過剰なCO2排出を招いている設備は、新しいものへ見直すことで中長期的な環境保全活動も検討しましょう。
CO2をはじめとした温室効果ガスは廃棄物の燃焼時に多量に排出されるため、リサイクルを推進し、廃棄物を減らしていくことも大切な取り組みです。
特に、レストランや食品メーカーでは、調理時に排出される生ゴミや食べ残しが食料廃棄物として排出され、その総量が非常に多いことも問題視されています。
廃棄物の排出量をきちんと把握した上で、削減のための活動を行い、その結果を公表することは企業の社会的責任です。

自家発電設備の導入

近年、原子力や化石燃料に変わる新しいエネルギーを利用しようという働きが、世界的に広がっています。
その中でも太陽光発電は、システムを導入すれば一般家庭や個人でも行うことができるのが特徴です。
災害時のリスクヘッジにもなることから、今後ますます広がっていくでしょう。
一般家庭よりも多くのエネルギーを必要とする企業の営業所や工場では、自家発電システムを導入することでCO2排出量の削減に大きく貢献できます。

地域社会への貢献活動

よりよい地域社会の創造に貢献するために、ボランティア活動を行うこともCSR活動につながります。
身近な取り組みとして、例えば交通安全運動や清掃活動を行い、暮らしやすい地域社会の実現に貢献しましょう。
祭りや伝統行事をはじめ、地域イベントを運営することも、地域社会への貢献につながります。
CSR活動を通じて地域に住まう人々と顔見知りになることによって、企業の製品やサービスを利用する顧客が増える可能性もあります。
また、地域貢献活動に励むことで、地域住民から「ありがとう」の言葉をもらう機会が増えていきます。
若手社員にとっては社会に貢献していることを実感できる貴重な活動となり、社員育成にも効果を発揮します。

中小企業でも無理なくCSRを実行してみよう

CSR事例を調べてみると、大企業による規模の大きな事例が目に留まることも多いでしょう。
そのため、中小企業ではCSR活動が難しいと感じてしまうこともあるかもしれません。
しかし「こうでなければならない」という具体的な定義がないCSRだからこそ、中小企業でも無理なくできることを探し、実践してみましょう。