「CSR」とは?経済産業省による定義と、活動調査の内容について

世界的に注目が集まっている「CSR」について、具体的な内容をきちんと理解できているでしょうか?
詳しい定義は団体によって、そして人によっても違うため、全貌を掴むことが難しく思えてしまうかもしれません。
今回はCSRについて、経済産業省が指し示している定義を参考にしながら、掘り下げていきましょう。

経済産業省によるCSRの定義とは?

CSRとは一般的に「企業の社会的責任」のことを指し、企業が持続的な経営を続けるために必要な活動・取り組みであるとされています。
一方で「具体的にどのような活動をCSRと言うのか」「CSR活動と、そうでない活動の定義はどこにあるのか」といったポイントについて、説明しなさいといわれたら戸惑ってしまう人が多いのではないでしょうか。
実際に、何をもってしてCSRと言うのか、その定義はさまざまです。
例えば欧州委員会(EU)、ISO26000、経済産業省、日本経済団体連合会といったCSRに関連する団体・仕組みは、それぞれにCSRの定義や考え方が違います。
もちろん意味合いが大きく違うというわけではありませんが、細かな言葉のニュアンスが違うためさまざまな捉え方ができ、広い視野で理解することが非常に重要です。

欧州連合(EU)では、2001年にCSRについて「企業が社会および環境についての問題意識を、自主的に自社の経営およびステークホルダーとの関係構築に組み入れること」と定義しました。
それから10年後、2011年10月には「CSRに関するEU新戦略2011-2014」が発表され、その中で「企業の社会への影響に対する責任」という定義もくわわりました。
欧米諸国は、日本に比べCSRに関する取り組みが進んでいるため、企業や社会や環境の問題に取り組むことを「推奨」するだけでなく、それこそが「責任」であるという、より強い姿勢に変わってきています。

こうした世界的な動きを受けて、日本の経済産業省では、CSRを次のように定義しています。

「CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)とは、企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るため、その活動の影響について責任をとる企業行動であり、企業を取り巻く様々なステークホルダーからの信頼を得るための企業のあり方を指します」

経済産業省によるCSRの定義では「ステークホルダーからの信頼を得るための企業のあり方」という言葉が明記されていることが、特徴と言えるでしょう。
EUのようにCSR活動を行うことを企業の責任としながら、その着地点として「企業の信頼を得ることにつながる」と明記していることから、企業にもリターンがあることを明記しています。

さらに経済産業省は2004年に、「企業の社会的責任(CSR)」を定着させるために「CSR研究会」を設立しました。
「CSRに関する経験や見識、最新情報の共有による企業のサポート」、「CSR政策と事業に関する研究プロジェクトの実施」、「企業と関連機関とのコミュニケーションと連携の促進」、「国内外のCSR政策に関する議論への関与」などの取り組みによって、日本におけるCSRのあり方を提唱しています。
こうした流れを受け企業の持続的成長のため、そしてステークホールダーからの信頼を獲得するために、CSR活動に取り組む企業が増えています。

経済産業省で行われているCSR活動調査


経済産業省では、企業ごとに取り組まれているCSR活動の内容を調査し、評価しています。
経済産業省のホームページによれば、評価するポイントは次の通りです。

「我が国及び諸外国の企業における効果的な取組事例の把握や右取組がいかに我が国企業あるいは諸外国企業の競争力の源泉として機能し得るか」
「諸外国のCSR政策の整理およびその評価を踏まえ、我が国の政策の在り方へいかに繋げていくか」
こうしたポイントを意識しながらCSR活動を行うことによって、同じ活動内容でもより高い評価が得られる可能性があります。
また、CSR調査は、「既存概念の整理とその影響や効果の分析」「CSR活動等と企業価値創造及び競争力強化との繋がりの可視化」「諸外国の政策に関する調査等」

その方法として、具体的に示されているのは以下の通りです。

「基礎的文献調査」
「社会的課題に関するグローバルな動向の整理」
「国別の企業のCSR取組の実態や課題の情報収集」
「諸外国(米国、英国、ドイツ、オランダ、ノルウェー、オーストラリア)の政策調査」
「企業の文献調査」

CSR活動は欧米諸国での活動が特に活発であり、それに比べると日本における定着率はまだまだ低く、日本独自のものが生まれているわけではありません。
そのため経済産業省で定められている調査方法や評価基準も、欧米の基準に基づいています。
日本でCSR活動に取り組む場合にも、より高い効果を得るためにはグローバル基準へ対応するべきでしょう。

求められるCSR活動の内容


これまで多くの企業がCSR活動に励んでいるため、企業が新たにCSR活動をはじめるときには参考にしましょう。
具体的なCSR活動は、次の通りです。

・地域美化運動
・植樹活動
・クールビズ、フォームビズなどによる節電
・コンプライアンスやセキュリティの強化

上記はあくまで一例であり、この他にも効果的な取り組みはたくさんあります。
また、CSR活動は地域社会が抱える課題や環境問題、グローバルな問題の解決など、外へ向けて発信していく活動だけではありません。
企業の内部に目を向け、企業の透明性や公平性を引き立てるために今一度体制を整えることも企業の責任であり、CSR活動の一部となります。

また、労働環境を整え、社員一人ひとりに働きがいのある環境を提供することも、企業の大切な責任と言えます。
どれほど社会貢献度の高い事業を行っていても、事業外にてCSR活動に取り組んでいても、その裏に一人でも苦しんでいる従業員がいれば、企業として正しい役割をまっとうしているとは言えません。
健全な労働環境を整備することは「人権を守ること」につながります。
組織としてはもちろん、個人にもフォーカスしながら、それぞれが一人ひとりの人権を守ることができているか、今一度確認すべきでしょう。

こうした取り組みの内容は、「CSR報告書」や「持続可能性報告書」を通じて、経済産業省ほか調査機関へ提供します。
ただ活動するだけでなく情報を開示するところまで含めて、責任を持って取り組むことが大切です。

経済産業省がCSR活動を推奨する理由


農業、林業、製造業、飲食業、ITサービス業……と、企業の活動領域や、事業活動を通じて取り組むべき分野は多岐に渡ります。
そしてCSR活動は、分野にかかわらずすべての企業にとって必要な取り組みとされています。

「環境破壊が相次いでいるため、森林資源が減少している」というニュースが飛び込んできたとき、事業で木材を使用している建設業や製紙業では、持続的な経営にかかわることからニュースを深刻に受け取り、環境破壊を食い止める保全活動に力が入るはずです。
しかし、事業を通じて森林資源を利用しない企業の場合は、同じように危機感を持って向き合うのは難しいのではないでしょうか。
それでも環境問題が深刻化すれば、誰もがこれまで通りの生活を続けることが厳しくなってしまいます。
だからこそ普段から植樹活動などのCSR活動を行うことで、企業や業界をとわず当事者意識を持って環境問題に向き合えるようになるというメリットがあります。

そしてCSR活動に取り組む上では、企業規模は関係ありません。
どのような企業でも、自分たちに出来ることを考えながらCSR活動に取り組みながら、企業の信頼性向上に努めましょう。

できることからCSRをはじめてみよう

CSRは、どのような企業であっても発展していく上で無視できない非常に重要な存在です。
世界中で起きている動きのため、経済産業省によるCSR推奨活動も今後ますます加速していくでしょう。
他の企業の事例にも注目しながら、できることからはじめてみませんか?